息詰まるサイコサスペンス
『トム・アット・ザ・ファーム』
2014.10.20
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- © 2013 – 8290849 Canada INC. (une filiale de MIFILIFIMS Inc.) MK2 FILMS / ARTE France Cinéma ©Clara Palardy
『わたしはロランス』などで知られる弱冠25歳の鬼才グザヴィエ・ドランが、監督・脚本・主演を務めたサイコサスペンス『トム・アット・ザ・ファーム』。10月25日(土)より、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほかで全国順次ロードショーされる。
ケベック在住の劇作家ミシェル・マルク・ブシャールの戯曲を映画化
19歳のときのデビュー作『マイ・マザー』がカンヌ国際映画祭で上映されるなど、早くからその才能が注目されてきたグザヴィエ・ドラン。2作目の『胸騒ぎの恋人』、日本でも話題となった『わたしはロランス』もカンヌ国際映画祭で上映され、今年のカンヌでも最新作の『Mommy(原題)』がコンペティション部門の審査員特別賞に輝くなど“天才”の名をほしいままにする若きフィルムメーカーだ。
新境地を切り開いた『トム・アット・ザ・ファーム』は、ドラン初のサイコサスペンス。ケベック在住の劇作家、ミシェル・マルク・ブシャールの戯曲を映画化し、カナダ・ケベック州の雄大な田園地帯を舞台に、息の詰まるような物語を描き出している。
子役としても活躍し、これまでにも自身の作品で主演を務めてきたドランが、恋人を亡くした青年役を静かに熱演。俳優としての魅力を見せつけた。ドランを筆頭にケベック州にゆかりのある俳優陣が顔を揃え、ケベックならではの“空気感”を作り上げている。
ボーイフレンドの葬儀に出席するため農場を訪れるトム
モントリオールの広告代理店で働くトムは、交通事故で死んだ恋人ギョームの葬儀に出席するため、彼の実家である農場に向かう。そこにはギョームの母アガットと兄フランシスが二人で暮らしていた。
トムは到着してすぐ、ギョームが生前母親に恋人である自分の存在を隠していたばかりか、ガールフレンドがいると嘘をついていたことを知りショックを受ける。さらにトムはフランシスから、ギョームの単なる友人であると母親には嘘をつきつづけることを強要されるのだった。
恋人を救えなかった罪悪感から、次第にトムは自らを農場に幽閉するかのように、フランシスの暴力と不寛容に服していく。
隠された過去、罪悪感と暴力、危ういバランスで保たれる関係、閉塞的な土地で静かに狂っていく日常……。2013年のベネチア国際映画祭のコンペティション部門で国際批評家連盟賞に選ばれ、「ドランの最高傑作」と評された注目作。彼の新境地をその目で見届けてほしい。
『トム・アット・ザ・ファーム』
10月25日(土)より、新宿シネマカリテなどで全国順次公開
監督・脚本│グザヴィエ・ドラン
出演│グザヴィエ・ドラン、ピエール=イヴ・カルディナル、リズ・ロウ、エヴリーヌ・ブロシュ
配給│アップリンク
2013年/カナダ・フランス/102分
http://www.uplink.co.jp/tom/
OPENERSより
MOVIE|鬼才グザヴィエ・ドランが切り拓いた新境地
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_tom_48888.html