“愛と孤独に揺れる心”を描く
ロウ・イエ監督最新作『二重生活』
2015.01.23
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中国の鬼才ロウ・イエ監督の新境地ともいえる、ミステリー調メロドラマ『二重生活』。1月24日(土)より、新宿K’s cinema、渋谷アップリンクほかで全国順次ロードショーされる。
5年間の映画製作禁止の処分が
解かれた後につくられた話題作
2006年に天安門事件を題材にした『天安門、恋人たち』を製作したことで、5年間の映画製作・上映禁止処分を受けたロウ・イエ監督。そのさなかにも中国ではいまだタブー視されている同性愛を描いた『スプリング・フィーバー』で、第62回カンヌ国際映画祭で脚本賞を受賞するなど映画製作への情熱を燃やしてつづけてきた。
映画製作・上映禁止処分が明け中国に戻ってからも“愛と孤独に揺れる心”を描き、精力的に活動。2011年の『パリ、ただよう花』の翌年に製作されたのが本作『二重生活』だ。中国大手BBSサイトに投稿された夫の浮気に苦しむ女性の話をヒントにつくりあげられた本作は、2012年の第65回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」のオープニング作品として上映。予測不能の展開が大きな話題を呼んだ。
キャストは、夫の浮気に苦しむヒロインに『天安門、恋人たち』にも出演したハオ・レイ、夫役には『スプリング・フィーバー』のチン・ハオなど、ロウ・イエ組の面々が出演。夫の愛人役には本作が映画デビューとなるチー・シーが抜擢されている。
夫と妻、愛人。
それぞれの思惑と事情が絡み合う
中国中部に位置する湖北省の省都に住むルージエは、優しい夫ヨンチャオとかわいい娘に恵まれ、夫婦で共同経営する会社も好調で、何不自由なく満ち足りていた暮らしを送っていた。
一方、愛人として息子とつつましく生活しながらも、いつかは本妻の座を、と願うサンチー。流されるままにふたりの女性とそれぞれの家庭をつくり、ふたつの家庭で生活するヨンチャオ。いびつながらも平穏にそれぞれの日常が過ぎていくかに思われた。
そんな矢先、ほんの些細な出来事から彼らの生活がほころびはじめる。さらに、女子大学生がクルマにはねられ死亡する事件が発生し、事態はどんどん複雑に泥沼化してゆく。3人の男女と事件を追う刑事、そして死んだ女。それぞれの思惑と事情が絡み合い、迎える物語の結末とは。
「中国では二重生活をしている人が多くいる」と語る、ロウ・イエ監督が浮き彫りにする現代中国の社会問題。官能的で浮遊感のある映像と音楽のセンスはそのままに、これまで以上に刺激的なエンタテインメント作品が誕生した。
『二重生活』
1月24日(土)より、新宿K’s cinema、渋谷アップリンクほか全国順次公開
監督・脚本│ロウ・イエ
出演│ハオ・レイ、チン・ハオ、チー・シー、ズー・フォン、ジョウ・イエワン
配給│アップリンク
2012年/中国、フランス/98分
http://www.uplink.co.jp/nijyuu/
OPENERSより
MOVIE│“愛と孤独に揺れる心”を描くロウ・イエ監督最新作『二重生活』
http://openers.jp/article/875451