ケン・ローチ監督によるヒューマンドラマ
『ジミー、野を駆ける伝説』

2015.01.16

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jimmy-regend © Sixteen Jimmy Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Element Pictures,France 2 Cinéma,Channel Four Television Corporation,the British Film Institute and Bord Scannán na hÉireann/the Irish Film Board 2014

イギリスを代表する巨匠ケン・ローチ監督の最新作『ジミー、野を駆ける伝説』が、1月17日(土)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開される。激動の時代のアイルランドにおいて、人びとの心の灯りとなった実在の“名もなき英雄”を描いたヒューマンドラマだ。

アイルランド出身の実力派俳優が集結

『麦の穂をゆらす風』で第59回カンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞するなど、カンヌ、ベネチア、ベルリンの三大映画祭で受賞暦を誇る“英国の至宝”ケン・ローチ監督。1960年代末に劇画デビューして以来、労働者や移民たちにまつわる骨太の映画を撮りつづけてきたことでも知られる。

また、スコッチウイスキーに一発逆転をかけたハートフルコメディ『天使の分け前』が2013年に日本で公開され、スマッシュヒットを飛ばしたことも記憶にあたらしい。

ローチ監督の代表作でもある『麦の穂をゆらす風』とおなじく、激動のアイルランド近代史を舞台にした本作。アイルランドで唯一、裁判も開かれずに国外追放となった元活動家の男の生き様に迫るヒューマンドラマだ。主演にはロンドンを拠点に活躍するバリー・ウォードが抜擢され、ジミーに豊かな人間味を吹き込んでいる。

またヒロインには、『アリス・イン・ワンダーランド』の続編に出演するシモーヌ・カービー。このほかにもアイルランド出身の実力派俳優たちが集結している。

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祖国に戻ったジミーを待ち受ける過酷な運命

1932年、国を分断した悲劇的な内戦が終結してから10年後のアイルランド。アメリカにいた元活動家のジミー・グラルトンが10年ぶりに祖国に帰ってきた。そんな彼の望みは年老いた母親のアリスの面倒を見ながら穏やかに生活すること。

しかし、かつて地域のリーダーとして絶大な信頼を集めていたジミーを村の人たちは放ってはおかない。村の若者たちの訴えに次第に突き動かされ、内にくすぶる情熱を再燃させたジミーは、人びとの憩いの場となるホールの再開を決意する。

かつてジミー自身が建設したそのホールは、芸術やスポーツを学びながら時勢を語らい、歌とダンスに熱中したかけがえのない場所だったのだ。しかし、そのジミーの決断が図らずもそれを快くおもわない勢力とのいさかいを招いてしまう。

ローチ監督がスクリーンに蘇らせたジミーの私利なき高潔な精神。そして、自由であることの尊さ、人生の喜びを人びとに伝えてきたジミーが、皮肉にも理不尽な弾圧にさらされていく過酷な運命。社会の底辺に眼差しを向けてきたローチ監督が送る、現代に生きる私たちへのメッセージを受け止めたい。

Text by YANAKA Tomomi

『ジミー、野を駆ける伝説』
1月17日(土)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国公開
監督│ケン・ローチ
出演│バリー・ウォード、シモーヌ・カービー、アンドリュー・スコット、ジム・ノートン
配給│ロングライド
2014年/イギリス・アイルランド・フランス/109分

http://www.jimmy-densetsu.jp/

OPENERSより
MOVIE│英国の至宝ケン・ローチ監督最新作『ジミー、野を駆ける伝説』 
http://openers.jp/article/867951

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