新感覚の心理トラップ・ムービー
『オオカミは嘘をつく』
2014.11.18
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イスラエルの森で起きた、ある凄惨な少女暴行殺人事件。気弱で善良そうな容疑者、容疑者に復讐をたくらむ被害者の父親、型破りな不法捜査に乗り出す粗野な刑事。なにが正義でなにが悪か── 恐怖と憎悪に満ちた3人の“オオカミ”たちによって繰り広げられる心理トラップ・ムービー『オオカミは嘘をつく』が、11月22日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開される。
タランティーノ監督が選んだ
昨年の「ベストワン・ムービー」ついに公開
2013年に開催された第18回釜山国際映画祭。上映後のティーチインに飛び入り参加したクエンティン・タランティーノ監督が「今年のナンバーワンの作品だ!」と興奮気味に発言したことで大きな話題となった本作。
イスラエルの森でかくれんぼをしていた少女が行方不明になった。数日後、森の奥で少女の遺体が発見される。少女の遺体は暴行を受け、さらにその体からは首がなくなっていた。凄惨な少女暴行殺人事件の容疑者として逮捕された男は、小柄で実直そうな中学教師ドロール。一貫して容疑を認めないドロールに、刑事たちは暴力をふるって自白を強要するも、証拠が見つからず釈放されてしまう。
その暴力の一部始終が何者かに録画され、翌日には動画サイトへと公開されることに。そのことを理由に捜査から外され、交通課へと移動させられしまう刑事ミッキ。しかしドロールが犯人であることを疑わないミッキは隠れて不法な捜査へと動きはじめる。
そして殺された少女の父親キディもまた、容疑者を拉致して自白させることをもくろんでいた。キディは、ミッキがドロールを捕らえたところを尾行し、ふたりを森の奥深くの一軒家へと連れて行く。そして大声で叫んでも外には届かない薄暗い地下室にドロールを監禁、娘がされた残酷な仕打ちの数かずと同様に拷問をはじめる。「やりすぎだ」と止めるミッキも捕らえ、拷問を進めていくキディ。そして、物語は徐々に取り返しのつかない方向へと進み、3人の男たちは破滅へと向かっていく。
「正義」と「悪」の固定観念のあいまいさ
監督は、イスラエル出身の新鋭監督アロハン・ケシャレスとナヴォット・パブシャド。争いの絶えないイスラエル社会からインスパイアされて本作を作り上げたという。物語の根幹は、監督ふたりが子どものころに両親から聞いたおとぎ話をダークにひねったところからはじまっている。彼らの最も興味のあるテーマは道徳的な問題に関わる善悪や、それらが普通の人びとの生活にどのような影響を与えるのかということであり、本作もときに良い人間が罰を与えること、そしてその逆もあり得るのではないかという発想が起点となった。
復讐と正義という名のもとに、ひとりの人間がどこまで極限に達してしまうのか。異なる3人のキャラクターの異なる動機を通して善悪の固定観念のあいまいさを描写することで、その定義の狭間でこれまでになかった感情が沸きおこる。果たして本当の“悪”とはなんなのか。衝撃の結末が、あなたの心に爪あとを残すだろう。
『オオカミは嘘をつく』
11月22日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
監督│アロハン・ケシャレス、ナヴォット・パブシャド
出演│リオール・アシュケナズィ、ツァヒ・グラッド、ロテム・ケイナン、ドヴ・グリックマン
配給│ショウゲート
2013年/イスラエル/110分/原題『Big Bad Wolves』
http://www.bigbadwolves.jp/
OPENERSより
MOVIE|クエンティン・タランティーノ監督が絶賛した展開と結末
http://openers.jp/culture/tips_movie/news_bigbadwolves_49845.html